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2007年05月 アーカイブ

2007年05月20日

橋本病とは

橋本病とは,甲状腺ホルモンの減少によっておこる病気です。甲状腺の機能が低下している場合, その原因はこの病気によるものがほとんどです。

橋本病は「慢性甲状腺炎」ともよばれています。その多くは甲状腺が全体的にはれているだけで, 症状は特にありません。そのうちの約半数の人が甲状腺の機能低下をおこしているのですが、そのうちの三割はわずかの機能低下(かすれ声、からだのだるさなど)だけで、治療対象となるのはさらにその残りの人たちです。

現在は,甲状腺が腫れたただで機能低下をおこしていない人も,将来にわたっては注意は必要です。

2007年05月21日

橋本病の概略

橋本病の症状は次の3種類に分けられます。

1) 甲状腺ホルモンの分泌は正常 ⇒ 治療は不要
2) 甲状腺ホルモンの分泌が不足 ⇒ 機能低下症
3) 甲状腺ホルモンの分泌が一時的に過不足を引き起こす。

ある調査によると,
橋本病の10年間の経過は次のようになっています。

1) 初診時にホルモン値は正常な場合

10年後も正常 ⇒ 38%
10年後は変動 ⇒ 46%
10年後に低下 ⇒ 16%

2) 初診時にホルモン値が低下
10年間で正常に戻る ⇒ 40%
治療を継続 ⇒ 60%


橋本病であるかどうかは,
次の2つのホルモンの量をはかることで判断できます。

1) 甲状腺ホルモン
2) TSH(甲状腺刺激ホルモン)

血液中の濃度を調べることで,
これらのホルモンの量がわかります。


橋本病になると,一般的には次のような症状が現れてきます。

1) 寒さに弱くなる
2) 気力・活力の低下
3) 体,特に顔がむくむ
4) 皮ふが乾燥する
5) 体重が増える

以下,橋本病についてさらに詳しく見ていくことにしましょう。

2007年05月22日

橋本病は40~50代の女性に多い病気

橋本病の原因はまだよくわかりませんが、バセドウ病同様。自己免疫疾患のひとつです。血液の中に甲状腺に対する「自己抗体」ができることがその原因です。

この自己抗体には甲状腺を刺激する力はなく、甲状腺組織を破壊する手助けをすると考えられています。バセドウ病同様、遺伝が原因となって発病することもあります。

40~50代の女性にもっとも多くみとめられ、男性一人に対して女性30人くらいの割合で発病します。

2007年05月23日

橋本病の症状

橋本病の場合, 甲状腺の形はもとのまま, 全体が腫れて大きくなります。腫れの程度はさまざまで、この点はバセドウ病と同じです。バセドウ病と違うのは, 甲状腺腫が比較的かたくて表面がごつごつしているという点です。

症状が軽い場合には、外見からはわからず、気づかずこ過ごしていることも少なくありません。ただ, 比較的軽いうちから不定愁訴があらわれ、物忘れや無気力、居眠りなどがみられます。

こうした症状が更年期にあらわれると、更年期障害と間違われることもあります。話をするときに口がもつれ、ゆっくりしたしゃべり方になることもあります。また、症状がうつ病と似ていることから,うつ病とまちがわれることもあります。

幼児や子どもの場合は, 身体の成長にも関係してきます。早期治療が基本です。むくみが出たり,話すのが遅くなるといった症状も出てきます。こうした症状は,本人より周囲の人のほうが気づきやすい特徴ですから、早めに専門医の診察をうけさせるようにしましょう。

以下,具体的な症状について細かくみていきましょう。

2007年05月24日

橋本病の具体的の症状1

1) 皮膚にむくみが出る(液水腫)

このむくみは, 通常のむくみとは違います。心臓や腎臓の病気が原因でできるむくみの場合は, 押してもへこんだままになりません。しかし,甲状腺に原因がある場合には押したところがもとにもどります。

顔のむくみがひどい場合は人相が変わってしまうこともあります。まぶたがむくみ、唇が厚くなり、舌が大きくなるなどの症状が出ます。

皮膚は乾燥してかさかさになり、ひどい場合には細かい粉がふいたような状態になってしまいます。

2) 粘膜にむくみが出る

むくみは,皮膚ばかりでなく粘膜にもおこります。たとえば,喉頭にむくみがくると,しわがれて低い声になります。

3) 熱を作る力が低下する

からだの中の熱をつくる力が低下するため,寒さに弱くなります。手足が冷たくなり、冬は厚着をしても寒けがします。体を動かすことがおっくうになり,一日中こたつに入りっぱなしになったりします。

2007年05月25日

橋本病の具体的の症状2

4) 暑さを感じなくなる

夏は暑さをあまり感じなくなり、汗もかきにくくなります。

5) 食欲がなくなる

食欲がなくなり,食べる量も少なくなります。胃腸のはたらきがわるくなるため, 食べてもおなかがはって便秘をします。胃腸の具合が悪いと, 体重は減りそうですが, むしろかえって増えることもあります。食べる量が減っても体重が増えるのは、からだの新陳代謝が低下してエネルギー消費量が減ることが原因と考えられています。

6) 心臓の働きが低下する

心臓にも変化があらわれます。鼓動が遅くなって心臓のはたらきが弱まります。血液を押し出す力が弱くなるため, 脈拍数が減少し, 脈も弱々しくなります。心膜の中に水がたまって, 全体が肥大化する場合もあります。また、手足など筋肉のすじが、ちょっとしたことでこむらがえりのようにつることがあります。

2007年05月26日

橋本病の診断方法

橋本病の診断方法ですが, 甲状腺の腫れ具合を診るのが一般的な方法です。腫れの程度は,素人が一目でわかるものから、専門家が注意深く触って、やっとわかるものまでさまざまです。

しかし、はれだけではこの病気に伴うものか、あるいはバセドウ病によるものか区別がむずかしい場合があります。

そこで、甲状腺の機能をしらべます。検査方法としては次の2つのように,ホルモンの量を測定するのが一般的です。

1) 甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの血中濃度を測定する。

2) 下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定する。

下垂体は血液中の甲状腺ホルモンの量を監視し、少しでも減っているとそれを敏感に感じてTSHの分泌を高めます。それが増していれば甲状腺の異常が予想されます。

2007年05月27日

橋本病 その他の診断法

甲状腺機能低下症になると新陳代謝が低下することによって、血液中のコレステロールが増加します。そのため,集団検診や人間ドックなどでコレステロールが多い, と診断されたのがきっかけで、橋本病が発見されることもあります。

恒常性刺激ホルモン(TSH)が増え、甲状腺機能低下症があれば確実に橋本別ですが、甲状腺機能に異常がない場合もあります。甲状腺機能が正常でも血液中に、甲状腺に対する自己抗体がみつかれば橋本病と診断できます。

甲状腺機能が正常で、さらに甲状腺に対する自己抗体がなくても、甲状腺腫の状態から橋本別が疑われる場合は、甲状腺から細胞をすこしとって確かめます(生検)。皮膚を切らなくても細い注射針を使ってとることができます。

この検査で、本来甲状腺にはないはずのリンパ球がみつかったり、ホルモンをつくる濾胞細胞が変性した変性濾胞細胞がみつかれば橋本病と診断することができます。

2007年05月28日

橋本病の治療

甲状腺の機能が正常の場合,なにも不都合はおこりませんから,特に治療の必要はありません。甲状腺腫の腫れを小さくする的確な治療法はまだありませんが,甲状腺ホルモン剤の服用で小さくなることがありますので、しばらく使用することはあります。

しかし、甲状腺腫がかなり大きい場合でも、気管や食道の通りが悪くなることはまずないといっていいでしょう。

甲状腺機能低下症がある場合は,甲状腺ホルモン剤で補う必要があります。心臓の病気がある人や機能低下症の程度が著しい人では、少量からホルモン投与を開始し、慎重に量を増やしていきますします。場合によっては入院も必要です。

投与を始めて2~3ヵ月もすれば,必要な投与量も決ってきますが、その量は人によって多少違いがあります。ホルモン投与中に甲状腺の機能が変化し、薬の必要量がかわることもありますが、多くはいったん決まるとその後かわることはありません。

血液中の甲状腺ホルモンの濃度とTSH濃度の両方が正常になり,

決められた量の薬を服用している場合には, からだに症状が出ることはありません。この薬には副作用はありませんし,ほかの薬との飲み合わせの心配もありません。

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